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和紙の原料である「楮(こうぞ)」の新たな可能性を探り、地元の魅力を再発見するために、地元住民や観光関係者をお招きし、地元食材としての活用をテーマにした料理イベントを「コワーキングロビーNESTo。」で開催しました。この取り組みの背後には、和紙産業が抱える現状と、私たちの地域に根付く文化を未来に繋げたいという強い願いがあります。

平成26年に「細川紙」の技術がユネスコ無形文化遺産に登録され、世界的にも注目される存在となったものの、デジタル化の進行や生活様式の変化に伴い、和紙の需要は年々減少しています。その結果、全国的に楮の生産量も減少傾向にあり、小川町では補助金などを通じて生産の維持に努めています。しかし、楮が持つ力は和紙としての利用にとどまらず、さらに広範な可能性を秘めてると考えています。

楮の原木から和紙に利用されるのはわずか17%の繊維部分であり、残りの部分は十分に活用されていない現状があります。この「未利用」部分にこそ、大きな可能性が隠されていると私は考えています。楮の付加価値を高め、全体を活用する新たな試みに挑戦することで、地域資源としての楮を再発見する機会となるでしょう。特に、楮には植物性タンパク質やポリフェノール、カルシウムといった栄養素が豊富に含まれており、これを「食」の分野に応用することで、和紙産業の未来に新たな光を当てたいと考えています。

今回のイベントでは、「旅するシェフ吉田氏」の協力を得て、地元の新鮮な野菜と楮を組み合わせた創造的な料理が披露されました。ポタージュやサラダ、リゾット、さらには秩父野鹿を使ったコウゾチップ燻製ローストといったメニューは、楮の新しい可能性を感じさせ、参加者の五感を通じてその豊かな魅力を伝えるものでした。料理一皿一皿に込められた技術と創意工夫は、楮の可能性が「食」を通じて無限に広がることを示す象徴となりました。

私は、和紙のふるさとであるこの地域で「楮と食」を結びつけることで、新たな文化と産業の創出を目指しています。楮の食材としての利用を広めることは、和紙産業に新たな息吹をもたらすだけでなく、地元の自然や伝統文化を次世代へ繋ぐ重要な一歩です。このような挑戦を通じ、楮という素材の価値を地域全体に再認識していただき、さらにそれが観光資源としても広く知られるようになればと願っています。

地元住民と観光客の双方に、この新しい視点からの楮の魅力を伝えられるよう、今後も地域の人々と協力しながら、地域の活性化に向けた取り組みを続けていきます。この挑戦が、多くの人々に支持され、楮の新しい未来を切り開く一助となることを心より期待しています。

こちらのイベントは産経新聞さんにも取り上げていただきました。
https://www.sankei.com/article/20231205-EW623DMWMBIN5HLAFGJU3OYM24/

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